祈りとコーヒーと/本田憲嵩
で武士道のように漂ってくるようだ)。やがて、すべて注ぎ終わったあとにはサーバーの中でやさしくかき混ぜてゆくのも決して忘れずに。そのサーバーからさらに注ぎ入れてゆく器はお決まりのコーヒーカップではなく、あらかじめ温めておいた茶道で用いる抹茶用の陶器の茶碗。それを両の手に取って、目を瞑りながらそれはそれは静謐に「おいしいコーヒーになってください・・・」、「おいしいコーヒーになってください・・・」「・・・ありがとう・・・」。さらにそこからもうひと手間。それを茶筅で何度もかき混ぜてかき混ぜてしっかりと泡立ててゆく・・・。
その光景を目の当たりにした、そのコーヒーを喫してゆく人の面持ちもその所作もまたそれはそれは静謐な「祈り」の形そのものである。「・・・ありがとう・・・」「・・・ありがとう・・・」。
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