風の乙女/みぎめ ひだりめ
 
風が吹く ついにこころも飛びゆいて

シル シル シュルル
乙女は鳴りね 肌を撫でつけ
輪郭線が溶けていく
あなた というかはこの たちこめる社会の
その一部になってみたいの

シル シル シュルル
吹きつく痛みも消えさえて
陽光が 街の影を削いでいく
まだ誰もが眠っている 今だけなら
あらゆる頸木(くびき)がゆるまって
ちいさな ほんのちいさな けれど
致命的な 風穴が開くのよ

シュルル シャ シャ
明け冷めた 街の木陰の その傍を
しずかに しずかに わたしは撫でる

シャ シャ シャ
風はただ こころのように飛びゆいて
愛しさをただ 吹きつけるだけ
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