Duple Dimension/伊藤透雪
 
よ  大丈夫?」
ああ、何か重たい鎖が胸を押しつぶすようだったが、
「大丈夫だよ。」
カーテンの隙間から明るい日が射している。朝ご飯はできているわよ、と妻の声が耳をなでる。
もう少ししたら起きよう、
      *

昨日のことが思い出せない。
今を生きるにはそれほど大切ではないが、何か大切なことを落としてきた気がした。
ーー影が忍び寄るーー
生きるだけの最低限 、見えない牢獄の壁に染みを作り脂が浮いている。私を守っているのは暗がりの銀色なひかりの月だ。

夢を記録しようと思う。何か落としてきた欠片でも見落とさないように。
      *

サイドテーブルに置いた筈の
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