Duple Dimension/伊藤透雪
 
二人で互いに微笑みを並べ、向かい合う。
囁き喜びを重ねて浸る夜の背に、翼をひろげ世界が二人の瞳に輝く。そして安らかな眠りを。
     *

髭を剃る手が鏡に止まり映った顔が歪んでいる。これは誰だ?と振り返るが誰もいない。いるはずもない、私は独りだ。
洗面台の後ろは、うつろな薄明かりがぼんやりしていて、覆い被さる影の名を呼ぶのさえ恐ろしい。なんなんだ。
きれいさっぱりと髭と共に洗い流せば、とにかく足元は崩れることもないだろう。
今日は始まった。窓の外は曇り、
     *

あなた、あなたと呼ぶ声に飛び上がる声を出したとき、傍らで心配そうなまなこが二つ。
「うなされてたわよ
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