The Blue Synapses/伊藤透雪
るのは
歪んだ記憶だけだ
無感情という真っ平らな状態で
俺の地平はまだ青を求めている
ふと仰ぎ見ると雨が落ちてきそうな空模様
群青の刷毛跡が暗い
ちりちりと頭上から落ちてきた痛み
は右目を潰そうとする
痛みだけは感覚に上がってくるから
まだ生きている、と知覚する
俺は痛みに耐えながらもまだ青を求めている
地平の下から上がってくる虚しさは
すぐに霧散するがそれは
地平を俯瞰する翼を忘れたくないからだ
ゆく先の濃霧も足下の暗闇も無関心でいるなら
たとえ無軌道でも
たとえ平坦でも
俺の地平を見つめて歩けるだろう
くらくらと目眩が続き
危なっかしい足取りで
背中を丸めながら俺は一人で生きていく
歩くのは生きることだ
あまり止まりすぎると
地平の薄い層から落っこちてしまうだろう
落っこちてはいけないと
頭のどこかで知覚した
--2011/5/14初出、本稿改作--
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