Notes on The Wasteless Land. ? and ?/田中宏輔2
 
て」という言葉がヒントになるのである。「何者でもなくなる」を、「何者でもある」という言葉に置き換えると、よいのである。「何者でもある」すなわち「何者でもあり得る」と認識することによって、人間は、魂の引き裂かれた苦しみや苦痛を、自ら軽減させることができるのである。では、その認識は、いったい、どのようにしたら得られるものなのであろうか。それには、「別の目を持つこと、一人の他人、いや百人の他人の目で宇宙をながめること、彼ら各人のながめる百の世界、彼ら自身である百の世界をながめることであろう。そして私たちは、一人のエルスチーヌ、一人のヴァントゥイユのおかげで、彼らのような芸術家のおかげでそれが可能になる。
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