Notes on The Wasteless Land. ? and ?/田中宏輔2
 
ランボーが採ることのできた道は二つしかなかったことになる。彼が、自分のことを「神」であると主張するか、しないか、である。もし、主張していたとしたら、彼は自分がくるっていることに気がつかなかった、ということになるであろう。しかし、彼は主張しなかった。たしかに、「精神を通して、人は『神』に至る。」(『地獄の季節』不可能、小林秀雄訳)といった詩句を書きはしたが、じっさいには、自分のことを「神」であると主張しなかったのである。それは、おそらく、彼の気が狂っていなかったからであろう。「ヨーロッパで僕の知らない家庭は一つもない。」という彼の言葉が、あくまでも文学表現上のものであり、それが誇張表現であるというこ
[次のページ]
戻る   Point(14)