抒情詩について/牛坂夏輝
 


「みんなで抒情詩を書こう。馥郁たる豚の形式で、
それを恐れないミモザの精神を持って」

語るのは視床下部の青年だった
彼の股関節は煙をあげ
彼の尊大な草原の物語は放棄された

「悲しい二つの旋律」は
いつの間にか始まり
いつの間にか終わっていた

最も遠い牡牛を見に行こう
牡牛は
記憶喪失の泉に浮かぶ
効果的な煉獄を痙攣させて
「自由と現実」についての小説を書くだろう

それは散文ではあるが
命令された犯罪者たちの
素敵な散歩でもあるようだ

安らかに遠ざかる夜の岩肌
黒いコーヒーのしずけさ

長椅子の上で抒情詩を書く
頭の中には
ひとつの草の想い出だけがあった

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