あの子へ/道草次郎
 
いておくれよ

いつまでも



「月夜」

ダメなやつ、とか
自分へいうのはよくないのです
でも
わたしはたくさん
自分へいってきたし
いまも
いっている

「おとうさんはね
こんな人なんだよ」

そう言えたら
ずいぶん楽だろうなあ
とふとおもうけれど
あと何年かすれば
あの子は
わたしのふと笑った顔で
そのとおりの言葉を
聞くに
ちがいないのです

あの子が
わたしをきらい
そして
そのきらいを
みらいのじぶんへそれとなく預ける晩などが
きっと
来るんだろうと思います

その晩が
どうかきれいな月夜の晩で
ありますように

そのように
わたしは願います
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