骨董品に念を感じますか/チアーヌ
 
、女だからじゃないかなあ、と。
その作家は骨董の食器類が好きで、新しい食器などで食べたくない、とまで書いていま
した。
なるほどなあ、とわたしは思いました。給仕をして皿を上げ下げし、皿洗いをやるわけ
じゃないからこういうことが言える。
彼は、骨董の食器に篭る念など全く感じないのでしょう。
わたしはお店で手を触れただけで、これを冷たい水で洗い続けたであろう昔のどこかの
主婦や女中さんの念を感じてしまって嫌なのです。
別に、恨みなど篭ってはいないでしょう。大抵は。でも、そこはかとない念を感じる。
その、そこはかとない感じも嫌なのです。
これは、同性だから感じる「念」のような気もするのです。
最近は男性も家事をしますが、だからといって男性があの「念」を感じるとは思えない。
それほど、その「念」はそこはかと頼りないのです。
でも、それはたぶん確実に存在する。
逆にその「念」をも一緒に愛することができたら、わたしも骨董のお皿を買い求めたり
するようになるのかもしれません。でもまだ、そういうことはできないみたいです。
まだまだ修行が足りない、のかな。


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