私たちは、いったい誰のために貧しいのか? /atsuchan69
 
態化し、実質賃金は押し下げられた。輸入物価の上昇は生活を直撃する一方、海外売上を持つ大企業や投資家にとっては利益を拡大させる条件となった。

円安で潤うのは、すべての企業や国民ではない。外貨建てで収益を得る輸出大企業、海外資産を保有する投資家、円安局面で株価上昇の恩恵を受ける層に利益は集中する。一方で、輸入に依存する中小企業や家計は、物価高という形で確実に負担を強いられる。円安は「国全体のための政策」として語られがちだが、実際には利益と損失の配分を大きく歪める装置として機能してきた。

この歪みは、政治と無関係ではない。歴代の政権は、円安と金融緩和を成長戦略として称揚し、株価や企業収益の改
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