残像/
ミナト 螢
泳げない癖に
潜ってみたくて
心に水を張る
そっと目を閉じて
あなたの笑顔を
浮かべるために
帰り道を遠回りして
綺麗に並んだベンチに
座ると冷たくて
あなたを浮かべた
心の外は
きっと冬なんだ
走らなくても
息は白くて
解ける前に
包みたくなる
きらきらと光る
イルミネーションや
恋人が交わす言葉の形を
離れた場所で見つめながら
誰かの背中と比べていた
傷跡みたいな夜空を
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