ネガティブ・ケイパビリティについて/由比良 倖
離された場所に行ける。
「自分」っていない、って感じる瞬間がある。自分とは、自分以外の全てなのだと。憂鬱なときや落ち込んでるときもそうなんだけど、感情や能力を自意識の前面に押し出すときに欠如しているのは、自分以外のものへの関心だし、結局のところ、つまるところは、僕がとても主体的なとき、僕には愛が欠如しているのだと思う。「あなたは眼の前のものを愛せますか」という質問は、いついかなる時でも有用だと思う。「自分以外のもの(人)のために祈れますか?」という質問も。自分の利益や満足のために祈るとき、その祈りは、自分を前面に出した、我欲によるものに過ぎないけれど、本当に自分を度外視して祈るとき、そこにある
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