くだんのために/あらい
 
 まだ聞こえない、入道雲が沸き立つまでの距離だ

 重なる檻を形成した花のかおり 秘色はまだ窺うようで、瞬間の、不格好にうわずらせた合図も恨みのまた、ざわめく植え込みが 横目で彼らを見ながら、白線の たくしあげる裾を、浮き橋に はだけながら、途はぞんざいにへばりついて、白痴という死体をみなぎらすなにかが 口に放る、
 できるだけあるべき姿を縋り付くように愛称を勃たせた、大きな縫い針で 私はSOSを発しているレコード

 泥舟もまた自らの手。抑圧のどこかで外したものでは無いと、またスイレンは朝まだ浅い、みみずくのこらと。この心臓に暴かれた楽園。終わりなどまざまざとカニバリズム(愛)。全裸に近づくように

 眼鏡のしずくとひかり、ともに弾かれしゃがみこんだ時 すべてのものを見た。
(冷えた指はしらない。)くだんのために
 :また少女(Eiserne Jungfrau)は、ほんのすこし、
  きれいだった、ことを、おもい かえしては、いたのでした
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