箱庭/AKiHiCo
小さな箱庭から眺めて四角い空
造られた白い雲は紫に染まり泳いでゆく
僕の視界からはすぐに消えた
冷たいコンクリートの香り
重い鎖に繋がれた身体に自由は――
純白の羽根の天使が僕の前に降り立った
小さく口が動き痛い言葉が胸に刺さる
両手を掲げ祈りを捧げる姿は華麗
僕には到底届かない光だと
救われない人たち
いくら叫び続けても
偽りの宝石しか与えられない
小さな部屋から見えるのは
時間に追われる人々の姿
僕にも羽根があったなら
ここから逃げ出せたのだろうか
なぜか天使は微苦笑する
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