私は間違ってなかった/泡沫の僕
あなた達を救うためにすべてをなげうった。
自分の欲望を、現在を、過去を、未来を。
足りないから、あなた達でさえ捧げた。
縋り付いて泣いていたのは私だった…はず。
冷凍食品は捨てるために温め続け、
誰かの怒声も涙も懇願も、祈りに書き直した。
救われない、愚かなあなた達が救われるように。
小さな安アパートはそうして贖罪で埋もれていった。
手元に残ったものが私の絶望だけだとしても、
神様はきっと家族を、あなたをお救いくださる。
私は間違っていなかった。
今日も震える声で祈りを唱える。
誰も救われなくとも、
私の信仰だけは残るんだから。
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