そうだね/泡沫の僕
 
同じ物を見て、同じ道を歩いて
話した思い出は互いの共感ばかりだった。

君の声を聴くために俯いた私の眼鏡は
いつも少し鼻先にズレていった。

「分かるよ」
「同じだね」
「そうだね」
「そうだな」

そうだった?

矢印の鋒は何時も君の目線の先で、
私のズレたレンズはそれを
正しく視認できなかったのかも知れない。
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