「キツネ」という絵本を読んで/あさみ
焼け焦げた翼はもう 私を空へ連れて行かない。
僕だって目を失ったのだ、でも生きてる。
君も僕も。
犬さんはそう言う。
でも。
翼を失った鳥。
目を失った犬。
……
目はなくとも、あなたは走ることができるじゃない。
やっぱり、惨めなのは私のほうだと思った。
湖にうつったものは、茶色い犬と、小さな鳥だと教えると、
犬さんは嬉しそうに走り出した。
私を背に乗せて。
すごい!
それって僕たちのことじゃないか。
もっと教えておくれよ。何が見えるか、僕に教えておくれ。
ぴゅうん ぴゅうん
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