竹と朝顔(修正版)/板谷みきょう
 

節の奥で息をととのえてから出したような、
ほんとうに控えめな囁きでした。

朝顔は、もう胸がいっぱいのようでした。
ほんのりと頬を染めた色が葉の影にもひろがり、
かすかに震える声で答えました。

「……今朝、陽が昇るころに……。」

それは夜露がひとつ落ちるほどの、小さな小さな声でした。

「ほう。」

竹は、ちょっぴり偉そうに言いましたが、
その裏には、どこか嬉しさが隠しきれませんでした。

それからは、また静かな時が流れました。

竹は、気まずくなると
「コホン……。」
と小さく咳ばらいをしました。

星たちは、その様子を、
まるでふたりを応
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