沼の守り火(河童三郎の物語)/板谷みきょう
 
姿を知るのは、湿った山の土と、滲んだ水だけだったのでございます。


7. 守り火の永遠
今も、村のどこかの囲炉裏の小さな炎は、村の生活を暖め、人々を安堵させる一方で、河童三郎の哀しき一生を、誰にも知られぬまま、そっと火がちろちろと燃えて温め続けているのでございます。


ダム計画は中止され、ぬらくら川は氾濫しなくなった。三郎沼は「心の水鏡」から「神の宿る沼」として、集落とともに残っておった。


火の揺らめきに、かすかに水音が混じる。
その度に水音は、誰も知られぬまま、三郎の存在を思い出すのでございます。


※原作「河童伝」を修正しました
https://po-m.com/forum/i_doc.php?did=364535

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