業ヶ淵の鬼の話/板谷みきょう
 
れん……)
 その恐ろしさに、村は震えたのだ。
 今でも、山奥に夕風の吹くころ、

 「……おっかぁ……」

 という声が聞こえることがあるという。
 それが風の音か、山の嘆きか、誰かの涙の名残りか。

 ただ、ひとつの影となって、森の向こうへ淡く消えてゆくだけだ。

※原作「鬼」を修正しました
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