それは素粒子よりも細やかそれはあやとりそれは贈り物第二幕/武下愛
 
遊する動けば緩やかにさせる澄んだ水。知らないから、何も感じない思わない考えないという人々は無関心。核が無くても泡という真珠だけを産む貝を捧げると、核が無くても沫という水晶だけを産むスペクトラムを水が染み込ませてくる。現象のパレットにスペクトラムを絞り出して、教養の絵筆でスペクトラムを。しゅわしゅわしてる捧げてきた全てが線香花火の様に弾けてしまう。



それぞれに透明糖を投げる。気に入らないと自作の透明糖が返ってくる。糖だからって甘いわけじゃない。



微光よりも、ほのかな微光だった頃、私達が滴らせた全素。それぞれの全素がゆっくりと一つになってティアドロップ。空間に落ちて輪を伝えて私達をなぞる。冷たくて噛み砕ける硬さではなかった。輪郭でなめて溶かし、流れ出るほど溜め込んだエネルギー。多光草。超光硬岩。硝子の薔薇。透明無限回廊。草は種だった。岩は水だった。硝子は砂だった。回廊は迷路だった。これからも駆けていく言葉を、問わずにいますように。
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