いつくいきもの/ひだかたけし
 
どくんどくん
どくどくどくん
ぁああぁああ
およいでいるわ

落ち葉舞い始める
晴れ晴れ朝の未だ手前
妙に明るむ意識の視界
泣き声絶えぬ懐かしさ

ぁああぁああ
ときのなみまに
むすうむすう
まっくろぬめる
おっきないきもの
なまめかしくも
しなやかに
みをくねらせて
むれなしおよいで

落ち葉舞い始める
晴れ晴れ朝の瞑目未明
焦がれ亡き声懐かしき
木枯らし呼び込み

うねるおもいおもい
いようなさまの
むすうむすう
くねるみのみの
ぬめりおよぎ
なまめかしく
ときのなみうち
ざぶんざぶん
どくどくうねるうねり

滑る真っ黒、知らぬ間に
時の浜辺へ上がり
空洞の大口あんぐり開き 、

奥処の暗黒覗かせ 不思議と我(に)懐く





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