Alice/月乃 猫
山里も朝夕はもう寒くて
昨日は、毛布を重ねて寝たんだよ
季節の話は、
真実らしきものを避け
通り道の安堵をもとめ、
ぼさぼさの髪
じれったい会話
――― まだミントが摘めるの
ミントとカモミールのお茶はどう
妹のお気に入り 今も変わっていない
そう思うようにする
とまることがない時間に
妹の姿は、抗い
時間の遡行を
確証する
眠れぬ時をささげた
姿をかえぬその存在は、
失ったものを
取返したくなる
あたふたと
格子のチョキのウサギがはいってきた、
古ぼけた懐中時計を見ながら、
――― 遅刻、遅刻、いそがない
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