小春日和の昆虫採集(改訂)/ひだかたけし
澄みわたる秋夜に冬の接近想いつつ
今に至り失われたもの又得たもの
遠い夏の日の森から立ち上がる
浮き世の波頭の幾つも幾つも押し寄せ
何れ容赦なく降り始める雪の死の門出
愛娘残したまま時の凍結齎らしながら
天より瞬き注ぐ星辰の身振り手振り 、
身を包み込む色なき風ひんやり優しく
朝焼けに染め抜かれる尊い入射覚醒の
産湯の安らぎ 何故かひたひたと
街の喧騒に苦肉曝す
この陸沈隠棲の身の意識を
永遠という終わりなき変容へと誘い続け
戻る 編 削 Point(7)