小春日和の昆虫採集(改訂)/ひだかたけし
 
澄みわたる秋夜に冬の接近想いつつ
今に至り失われたもの又得たもの
遠い夏の日の森から立ち上がる
浮き世の波頭の幾つも幾つも押し寄せ

何れ容赦なく降り始める雪の死の門出 
愛娘残したまま時の凍結齎らしながら

天より瞬き注ぐ星辰の身振り手振り 、

身を包み込む色なき風ひんやり優しく 
朝焼けに染め抜かれる尊い入射覚醒の
産湯の安らぎ 何故かひたひたと

街の喧騒に苦肉曝す
この陸沈隠棲の身の意識を 

永遠という終わりなき変容へと誘い続け

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