海王星からの光の定期便/歌留多カタリ
長い影の輪郭の内側で
幸福な駱駝と不幸な鮫が戦っている
閉じ込められた瞼の奧で燃えている
痛みと微熱
吹き出す汗に
引きずり出されたあの夏の半島が
あまたの夜と昼とを交換していく
このひとおもいに燃えつきる世界
放たれる一度きりの虹色とは
偶然と必然の現実的刹那に横たわる
星々の瞬き
生きている喜びのあとに
突然燃えあがる怒りの炎
死にたくなるほどでもない
ぼんやりとした不安にさえも
少しずつ人は魔法にかけられたみたいに
無口になっていく
閃光よりも俊敏に後悔よりも緩慢に
断続的に震える機体と翼をなだめながら
彼は生まれたての子どもの顔をして
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