海王星からの光の定期便/歌留多カタリ
戦い終えた獣のたてがみが北の空へとなびいていく
闇間に散る渡り鳥の影
海王星からの光の定期便を携えた郵便機のパイロットは
震える右手でジャイロスコープを暖め
左手は薄汚れた記憶のガラス窓を擦りながら
航路から逸れた小惑星の飛行を続けていた
局地戦が始まる前に
顔のない闇の兵士は枯葉の燃える森を越えていく
空腹と殺戮に苛まれ
ざわめく草原をかすめ
絞り出された血のしたたりを水のない心に沈める
操縦士の敵はいつも操縦士であることを
彼はよく知っている
あれは南へ向かう商隊の一列!
旅を溜め置くための塒(ねぐら)を定めるために
見知らぬ国の国境線が引かれていく
長
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