全行引用による自伝詩。 09/田中宏輔2
 
をおろし、縁に色彩を帯びた丸い物体が果てしないネオンの通路をなめらかに動いていくのを見つめた。ズィプティ、ズィプティ、ズィプティ、宇宙船と人工衛星。その通路は病院と天国が半々になったような臭いがし、そしてボズは泣きはじめた。
(トマス・M・ディッシュ『334』解放・1、増田まもる訳)

あらゆる方角の歩道や壁が同意した。
(トマス・M・ディッシュ『334』解放・3、増田まもる訳)

(…)わたしは目を閉じて、ブルーノの夢を想像してみようとする。だが、行きつくのはブルーノが夢にも見そうもないことばかりだ。青い空。あるいは台地が冷えきったときの野原の無情さ。たとえそういうものに気づいていた
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