全行引用による自伝詩。 09/田中宏輔2
 
その課題に吸い取られてしまうのである。だからこそ私にとって個人であることは不都合なのであって、また、これも同様に確信していることなのだが、私が諸君を凌駕しているのと同程度に私を凌駕する知力は、人格化などというものは尽くすに値しない無意味な仕事だとみなすのである。要するに、精神の〈知性〉が大きくなればなるほど、その中の個人は小さくなる。
(スタニスワフ・レム『虚数』GOLEM XIV、長谷見一雄訳

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