全行引用による自伝詩。 09/田中宏輔2
とが見えた。おばさんの肘かけ椅子はこの窓のほうに向いていたので、薔薇色に反射する光が、おばさんの黄色い顔やシートンのチョコレート色の目にたっぷりと照りつけていた。ただしおばさんの目は、異常に長くて重いまぶたになかば以上隠されていたので、これだけは別だった。
(ウォルター・デ・ラ・メア『シートンのおばさん』大西尹明訳)
?集合無意識?に関する古い理論は、泉の枯渇によってほぼ立証されたかに見えた。これはすべての人間が共有するひとつの無意識があるという理論である。その無意識が、哺乳類から鳥類、魚類、蛙、蛇、トカゲ、ミミズ、蜜蜂、アリ、コオロギ、ブヨにいたるまでのあらゆる動物に共有されている、と
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