全行引用による自伝詩。 09/田中宏輔2
 
んなに恵まれない人だって、そんなまがいものの間に合わせの友情に満足したり、だまされたりするわけがないでしょう」
「間に合わせといっても、大がいの人がその間に合わせしかもっていませんよ。人間は友情にしろ金にしろ、ほんのわずかで我慢している。彼らが僕の親切に頼っている以上に僕の方が彼らの親切を頼りにしているといえる。きみのパセリは元気がいいですね。うちではだめだろうな。あれは種から?」
「いいえ、ベーカー通りの健康食品店で根を買って来たのよ」
 フィリッパはパセリを少し摘んで彼にプレゼントした。セントポーリアのお返しができてうれしかった。お返しをすれば、母も自分も彼に借りを感じる必要はない。保護
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