全行引用による自伝詩。 09/田中宏輔2
ト『地球航路』7、梶元靖子訳)
イザンバードが〈土と気の呪文〉を唱えて、円盤の上の空間に予想どおりの型をつくりあげ、それに実体と〈形相〉を与えた。つづいてサイレンスがそれに応える〈呪文〉を唱え、〈形相〉を自分のパワーに固定する。形を得た空気が、(…)
(メリッサ・スコット『地球航路』9、梶元靖子訳)
「そう、それなんだ」とク・メルは心にささやいた。「いままで通りすぎた男たちは、こんなにありったけの優しさを見せたことはなかった。それも、わたしたち哀れな下級民にはとどきそうもない深い感情をこめて。といっても、わたしたちにそういう深みがないわけじゃない。ただ下級民は、ゴミのように生まれ、
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