十一月の雨/山人
 
十一月の雨はどんな気持ちで降っているのだろう
十一月の雨は、冷たくなれば雪になるけれど
ほの温かい、いくぶん霧雨のような朝には
ため息だけを増産する

十一月の雨は、まるで生活することに疲れ
あてどない荒れ地を歩いていかなければならないような
あきらめに支配される
十一月の雨は、なにもかもが
生き急いでいる生活の中で
その混沌の隙間を縫い降っている

十一月の雨は、さみしい
十一月の雨は、どうしようもない

新しい何かがはじまります。
その拡声機はやがて、十一月の雨が雪になる頃
しずかに埋もれてゆくだろう
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