みかん地獄/花野誉
食べても食べても減りません
いつかは無くなるのは
わかっていますけれど
みかんの季節です
待ち焦がれた季節がやってきました
大きなバケツに山盛り
有田みかん 四百円
「お姉さんら、二つまけとくわ」
職場の道挟んで真ん前
臨時の販売所へ
職場の人たちと
いそいそ買いに行きました
安い、多い、嬉しい!
翌日、実家にて
「みかん、買っておいたから」
断れず持って帰りました
スーパーの袋いっぱいのみかん
優しさ、重みとなって腕に食い込む袋
親心ギュッと詰まった橙色
嬉しくて苦笑いです
帰宅したら玄関に段ボール
「大分に移住した友達から」
夫が言います
一抹の予感──そして的中
箱いっぱいの橙色
言葉を失いました
どないしよ
この、ようさんのみかん
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