やさしい円環/秋葉竹
けれど
光らない夜空の果てにみえる
甘いドーナツのような
月も舵を失い
そして
感謝を忘れたひとの街に
地響きがゴゴゴゴゴと
なにかを裏切るように聴こえるとき
水に濡れた一羽の鴉が飛び立ち
夜空から光る街街をみおろそうとする
その目玉には
なにが映るのか
もともとやさしいひとだった君の
鳩尾あたりに熱い痛みが走るみたいに
いつもたにんのために祈っている君の
美しい瞳が白白と乾いてしまっている
ドーナツみたいな円環が
祈りの果ての一ツ星を隠そうとする
深く息を吸い込みゆっくりと吐き出す
幸せの果ての極星みたいな孤独を
強くてこらえて
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