第三セクターの恋人達/シアン
 
シーソーと電池の切れたラジコンときみのなみだとそしてさよなら

かくれんぼ3つ数えて工場の敷居を越える(サンタはいない)

この町で一番長い煙突が君と僕との待ち合わせ場所

この町と六角レンチとマルボロが僕の青春時代のすべて

みな同じ長方形を貼付けて並んで走る雄蟻のごと

みな同じ最新型のマイカーで夜明けを目指し飛行場まで

泣いた後「昔のシングルCDって医者の頭のアレに似てない?」

スーパーの/駅のホームのポスターで無言で笑う坂口憲二

僕達はスノードームに降る雪のような関係ならばよかった

森の奥、湖畔のほとりに立つ苗は去年なくした恋人だった
戻る   Point(6)