雨に踊れば/泡沫の僕
 
雨が降るのを予見したら、
僕らは準備を進めなければならない。
僕らは濡れることで、自分を確認するから。
彼等は作戦を立案しなければならない。
彼らは一粒の雨でさえ死に至る。
屋根から一歩外へ出れば、そこは戦場だ。
誰もが己の領空を守り、侵略するために。
我先に傘を開いて、制空権を確保する。
無数の先端は灰色の空に向けて
上へ下へと揺れ揺れる。
誰もが無関心を装い、柔軟性を失い、
握りしめた拳は強固さを増していく。
雨は止まないまま、夜を迎えて
水面は静かに小さく揺れる。
薄黄色い街灯に照らされたそれは
まるでアスファルトに見えたから——
僕らはそこで優雅にステップを踏もう。
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