スカーレット/秋葉竹
 


笑うこともできないどしゃ降りの雨
もう
濡れながら歩くしか無い諦めの夜

それは孤独ではなかったか?

そしたら突然
このどしゃ降りの雨より突然

ケラケラ笑いながら
スキップしながら愉しげに
街を舞台にして踊るように走り去った
スカーレット

一瞬声をかけようかと迷ったが
私はちいさく微笑みながら
憧れながら消えてゆくその姿をみていた

野生、なのか?
それともいっそ、
野獣、なのか?

もうみえなくなったスカーレットを
それでも懸命に目で追って
私は真顔に戻りひとり歩きつづける

この身にまとう
肉を脱ぎたい
スカーレットのように
そして
過去の骨のしがらみさえ
削いで尖らせてしまいたい

汚れたところで
なにも困らない

ただ真っ赤なスカーレットと
ただ家へ帰る時間が
私にそれを教えてくれた






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