便意/
花形新次
新しく手に入れた本に
触れたときのなんとも言えない
喜びの感覚を
いつの間にか忘れてしまった
どんなに残虐なミステリー小説でも
嬉しくてワクワクしたあの感じ
そう言えば
本屋にもここ数年行ってないな
並んだ本から
お気に入りを探して出しているときに
不意に催す
あの便意もすっかり忘れてしまった
ただ、何故だろう
そのかわりに
パソコンを開くと
トイレに行きたくなるようになった
人間って不思議だな
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