全行引用による自伝詩。 07/田中宏輔2
 
れわれほんの二、三の者にしか関係ない場合もあるがね。とにかく着られているわれわれは自分は自分のままだと思っているから、めったにそれに気づくことはないが、他人から見れば、やっぱり創造神(デミウルゴス)であり、慰め主(パラクリート)であり、悪魔王(フイーンド)であるのだ。
(ジーン・ウルフ『調停者の鉤爪』24、岡部宏之訳)

 彼女は低い天井を見つめていた。わたしはそこにもう一人のセヴェリアンがいるように感じた。ドルカスの心の中だけに存在する、優しくて気高いセヴェリアンが。他人に最も親しい気分で話をしている時には、だれもが、話し相手と信じる人物について自分の抱いているイメージに
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