全行引用による自伝詩。 07/田中宏輔2
 
豊かな夢と希望だ、ビリー。それらすべてがわれわれの周囲に渦巻いている。可能性だ」彼の目がぎらぎらと輝いた。「美人ならいくらでもいるというのに、どうして通りすぎていった美人ひとりを追わねばならないのだ? 答えられるか?」
「わたしには──ミスター・ジュリアン、わたしにはわかりません」
「そうだろう、ビリー、おまえにはわかるまい」ジュリアンは笑った。「わたしの気まぐれが、これらの家畜どもの生であり死なのだ、ビリー。おまえが心からわれわれの一員になりたいと思うなら、そのことを理解しなければならない。わしは快楽だ、ビリー、わしは力だ。そして現在のわしの本質、快楽と力の本質は、可能性のうちに存在するのだ
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