またたく聖域   蒼風薫/梅昆布茶2
 
なにも
路傍の石よりも軽い私の
路地裏の娘その後
紅葉が眩しく感じられる頃が好きだ
その輝きはきっと涯をよく知っている
憧れは憧れのままにいつも
同じ道をゆく  あの日々の
路地裏の娘のままの
行き止まりはどこにでもあって
そこを透明な風として抜けるすべを知っている
そのまま
消えた女になりたい  帰りたくない
あてのなさを一つ歌えば
自販機も微笑むはず  お釣りの撮り忘れ
ありがとうと見知らぬ人に  ありがとう
そして集まったコインたちで私は粗大ゴミ処理券を買い
明日からの十二月に備える
予定のない  私のためだけの十二月に
戻る 編 削 Point(7)