町と街/ねことら
 
うに、構成する一つ一つのベクトルを、
少しずつ傾けていく、その意図もなく、目的もなく、
これは無記名の投票のように、僕の、君の、
毎日を透明な位置情報で書き込んでいく


町は、こうして広がり、あるいは広がらず、
目的は与えるものではなく、定めるものだから、
秋の夕刻は一秒一滴ずつ、透明な空虚を闇に落としたように、
薄く白みがかって広がっていく、
町は観察するもの、マンションのベランダで、路地の隙間で、
コンビニの透明な窓の先で、壊れたブロック塀の隣で、
ガードレール、カーブミラー、
いくつもの車と車と車と、
人と人と人と、




町と街


僕と君と、こうして暮らしているもの










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