夢/
塔野夏子
もしいつか会うならば
そこは淡い抽象画のような場所
つつましく響き合う
やわらかな薔薇色を 薄明や薄暮の青灰色を
ほのかな真珠色を しっとりと佇む秘色を
感触しながら
静かな体温を寄り添わせる
花も星も雪も
かすかに光る粒子となって
ひそやかに宙を舞い降りつもる
身に帯びてきた
幾重もの意味はゆっくりと溶け落ちて
最初の言葉が発される前と
最後の言葉が発された後の
深い無音に
わたしたちはようやく
そっと触れることができる
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