【わが短歌・俳句入門】<俵万智>/藤原 実
 
ことではないでしょうか。

この曲と決めて海岸沿いの道とばす君なり「ホテルカリフォルニア」


『サラダ記念日』の冒頭の歌です。俵さんとほぼ同世代のぼくにはこれはほとんど自分の歌のようにさえ思えます。あわただしく過ぎ去っていく日常を短歌という古びたと思われていた「形式」を自在に操って俵さんはみごとに永遠のものとして定着させているのです。

俵さんの歌は「短歌(という形式)と同じくらいに通俗」である、それでいいのではないでしょうか。


    (初出:1998.7 @ニフティ<現代詩フォーラム>)

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