【わが短歌・俳句入門】<俵万智>/藤原 実
俵万智さんの『短歌をよむ』(岩波新書)で万智さんは自作の俳句を短歌に作り替えている。
使用済みテレホンカードの穴冴える
使用済みテレホンカードの穴冴えて思い出せない会話いくつか
というのがそれで、「七七があるぶん、短歌のほうには物語を付け加えることができた」と万智さんは喜んでいるがどんなものだろうか?句の方をみると……度数のないカードを捨てようとして、ふと穴に目が止まる、いったい誰とどんな話をしたのか。あわただしく過ぎ去っていく日常に自分は巻き込まれてしまっているが、もっと大切な話をしなければいけなかったのではないかetc.……といったところでしょうか。
穴冴える
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