ノート(冬の目)/
木立 悟
森のすきまを覆う街
道をゆく赤い衣たち
誰かがまいた白い紙
銀の飾り
頬かむり
目にいっぱいの赤
目にいっぱいの赤
階段は鳥
そっと踏みしく
脱ぎかけの服
脱ぎかけの陽
そっと踏みしく
おりる階段
鳥は空へ
のぼる階段
鳥は原へ
汽車のように大きな
ひとり乗りのそり
腹に水をためた らくだ羊
りんご 豚 どちらが先か
赤い衣の 迷う死神
雪の原をとぼとぼゆく
らくだ羊の背の上
口笛で何度も
雪をとばす
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