強い草はどこにでも生える/ホロウ・シカエルボク
例えば心臓がどのように動いているのか実質的に知らなくても人は懸命に生きるだろう、例えば火に触れたことが無くても幼いころからそれに近付いたりは決してしないだろう、例えばあの角に殺人鬼が隠れていたとしてそれを視覚的に認識することがなくても「道を変えた方がいい」と直感的に思うだろう、そのように俺は言葉を紡いでいる、本能や直感、日常の及ばぬところにある物事が昔から好きだった、そこに自分の知るべきことがあると理解していた、いまでならそれはオカルトと呼ばれるような領域かもしれない、でも俺にとってそれは普通のことだった、一言で片づけてしまうなら「霊性」とでもいうべきものだろうか、それは実体を持たぬものであり
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