全行引用による自伝詩。 03/田中宏輔2
13、嶋田洋一訳)
このことを、彼は深い感動をこめていった。わたしは自分の態度の冷たさを責められている思いがした。きっと悪い経験をかさねたため、わたしのなかに冷たさと不信が生じていたにちがいない。わたしも生まれながらのそういう人間ではなかった。だから、わたしは人に対する信頼の念を失うことで、人生においていかに多くのものを失ってしまったことか、また、きびしい警戒心を身につけることで、得るところがいかに少なかったことか、としばしば思ったのである。こういう心理状態が習慣になっていたので、ほんとうに悩みそうな、もっと大きな問題のばあいよりも、こんどの会話のことでわたしは悩んだ。
(チャールズ・デ
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