ゆりかごから墓場まで/シアン
メキシコでUFO発見されし日に生まれた子らが今日成人す
制服で歩くふたりにもう僕はなれない春に煙草をふかす
「やり残しリスト」を胸に掲げつつあと一年は生きんと思う
目覚めると言葉と意味が出鱈目で教えてあげる「これは瞬き」
恋人とキスするシーンの本番で「台詞がくさい」と笑い出す君
春風にレースのカーテン揺れるとき映画のようで僕は吹き出す
しんしんと聞こえるはずのない音を聞いた気がして夜中目覚める
朝7時NHKのキャスターの胸のところに象が三頭
弓引きて半月のごと撓るとき風にも色がある事を知る
戻る 編 削 Point(4)